参考記事
「一人っ子政策」で人口時限爆弾を招いた中国、解消に躍起
子どもが2人未満なら拠出金支払え!経済学者の提言が論議呼ぶ 中国
日本の少子高齢化、中国から見ても「他人事とは言えない」=中国メディア
日本に住んでいると超少子高齢化社会の日本の行く末ばかりが気になりますが、
先日の記事
「少子化過ぎる日本。日本と世界各国の年齢3区分別人口割合と合計特殊出生率比較」
でも紹介したように、少子高齢化というのは世界的トレンドとなっています。
それは日本のお隣の韓国や中国も例外ではありません。
韓国の合計特殊出生率は日本の1.44よりも低い1.17ですし、
中国も爆発的人口増加を抑制するために1979年から導入していた一人っ子政策を大幅に緩和(廃止?)することになりました。
高齢化&若年労働者不足は各国ともに頭を悩ませている問題なのですが、
最近ニュースでよくみかけるように、
中国の危機感は相当なものの様です。
以下は中華人民共和国の基本データです。
人口:13億9000万[1]人(2017年)
面積:9,634,057km2(2017年)
人口密度:145人/km2
GDP:11.2兆ドル(2016年)
一人当たりGDP:8,123.18ドル(2016年)
上記のデータだけで見ると、
人口・国土面積・GDPとどれをとっても大国といっていい数値となっています。
まさに次代の超大国といった感じです。
ですが、1979年から2015年まで続いた一人っ子政策の影響で、
中国の人口構成は日本同様に大きな問題を抱えることになりました。
以下、いくつかのグラフで中国の人口統計を見ていきたいと思います。
最初は2017年の中国の人口ピラミッド・年齢5歳階級別男女別人口です。
まだ日本ほど危機的な状況ではありませんが、
25歳~29歳、40歳~44歳、45歳~49歳の人口が突出して多くなっています。
そして、19歳以下の各階級が生産年齢人口の各階級と比較して各段に少なくなっている一方、
60代の各人口階級と同程度になっています。
このままいくと日本の人口ピラミッドのようにタンブラー型になる可能性が高いと思います。
なぜ、このような状況になるまで一人っ子政策を続けたのかは、
1950年の中国の人口ピラミッドを見るとわかるかもしれません。
おわかりでしょうか?
人口爆発を起こしている発展途上国によくみられるタイプの人口ピラミッドで、
0歳~4歳の人口が他の年齢階級に比べて圧倒的に多いのです。
そして1950年~1960年台まで中国の合計特殊出生率はなんと6前後で推移していたのです。
そいうわけで、このまま人口増加が続けば中国は国民を食わしていくことができなくなる。
=人口が多すぎて国家としてやっていけなくなるということで
一人っ子政策という人口抑制政策を導入することになったわけです。
ちなみに日本でも1990年ぐらいまで似たようなことが言われていました。
国土面積の小さい日本でこのまま人口増加が続けば、
人口過密で住みにくい国になってしまう等々。
現状は予想とは逆の結果となっています。
さて、話を戻します。
上記の人口ピラミッドを見るまでもなく、
中国の合計特殊出生率の低下ならびに少子高齢化の原因は
一人っ子政策だということは広く知られていることですが、
本当にそれだけが原因でしょうか?
違った視点から見てみましょう。
以下のグラフは、G7・先進7ヵ国とBRICsの合計特殊出生率の推移比較 1960~2017年(昭和35~平成29年)です。
対象は
G7先進7か国:アメリカ・日本・ドイツ・イギリス・フランス・イタリア・カナダ
BRICs:ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ
そして世界です。
見にくいと思いますので
グラフ下部中央の各国名をクリックして表示国数を調節してみてください。
*⇧各国名クリックで表示切替可
Source:
世界銀行 DataBankWorld Development Indicators
グラフを見るとわかるのですが中国の合計特殊出生率は
1965年の6.396をピークに急速に低下し始めています。
ということは、一人っ子政策が始まる以前から中国の合計特殊出生率は低下していたということになります。
一人っ子政策が始まった1979年からはしばらく横ばい状態で、
1989年ごろから再び低下し、
そしてまた横ばいになり合計特殊出生率は1.5~1.6あたりで推移しています。
(※グラフ下部中央の各国名をクリックして中国だけを表示すると見やすくなります!)
このグラフが意味することは一体何なのでしょうか?
中国に一体何があったのでしょうか?
中国の歴史・政治・経済に詳しい人はピンときていると思います。
以下に中国建国以降の年表をまとめてみました。
1949年:中華人民共和国建国
1958年:大躍進政策開始
1966年:文化大革命開始
1978年:改革開放開始
1979年:一人っ子政策開始
1989年:天安門事件
1997年:香港返還
1999年:マカオ返還
やはりあれですかね…。
最後に中国の人口推移予測グラフを確認したいと思います。
少し古いですが国連の予測です。
単位: 千人
※単位: 千人
※グラフ下部中央の各項目クリックで表示切替可
高位推計・中位推計・低位推計は出生率の高低からの推計値
世界の国と地域の人口推移一覧
■おすすめ記事
【人口増加】カナダの人口は170万人増の3520万人で先進7か国中最大の伸び。「少子化過ぎる日本。日本と世界各国の年齢3区分別人口割合と合計特殊出生率比較」
乖離800万人以上!北京市・常住人口と戸籍人口!都市機能移転で人口抑制を試みる。
出生数100万人割れ。死亡数約130万人。自然増減数はマイナス30万人以上~日本の人口動態
【日本の高齢化は世界一】 世界高齢化率地図&ランキング 2015 【老化する世界】
欧米先進国と日本の高齢化率の推移と予測 1950~2060年